住み替えではなく、「今ある家を整える」という選択。
「本当に谷口さんにお願いしてよかったです!」
施工が終わったあと、何度もそう言ってくださったすみれさん。
今回ご依頼いただいたのは、ご夫婦とお子さん2人で暮らすマンションの空間改善です。
実はすみれさんご家族、当初は今の家を買い替える予定だったそうです。
それがなぜ、今あるマンションを整えるという選択になったのか。
そして空間を整えたことで、家族の暮らしにどんな変化が生まれたのか。
今日はそんなお話をご紹介したいと思います。
家族が増え、手狭になったマンション
すみれさんとの出会いは、柏にあるフォトスタジオ「カルペディエム」。
私がスタジオの内装やフォトブースを手がけていた頃、すみれさんは事務のお仕事をされていました。
当時の私の仕事を見て、「いつか自分の家も谷口さんにお願いしたい」と思ってくださっていたそうです。
そんなお話を聞けただけでも、本当に嬉しかったです。
そして、お子さんの成長とともに、今のマンションが少しずつ手狭に感じられるように。
上のお子さんが小学校に入学するタイミングもあり、家族のこれからの暮らしを考えて、住み替えを検討することになりました。
理想の家を探して気づいた、住み替えの現実
建売住宅を見に行ったり、土地を探したり。
注文住宅を建てるという選択肢も含めて、いろいろと検討されたそうです。
でも、そこで直面したのが住宅価格の高騰でした。
今のマンションを売却しても、新しい家を購入するにはさらに大きな住宅ローンが必要になる。
しかも、予算内で購入できる建売住宅を見てみると、キッチンや洗面台、お風呂などの設備が、今のマンションよりも物足りなく感じられることもあったそうです。
注文住宅なら理想を叶えられるかもしれない。
でも、予算を考えると選べる設備や建材が限られてしまう。
「新しい家に住むことが、本当に今より快適な暮らしにつながるのだろうか?」
そんな疑問も生まれてきたのだと思います。
そして、ようやく気に入った物件に出会い、契約まで進んだものの、営業担当者とのやり取りに大きなストレスを感じる出来事がありました。
契約を急かされ、十分に納得できないまま進んでしまったこと。
翌日になって、本当にこれでよかったのだろうかと不安になったそうです。
結果的に契約は解消し、住み替えの計画はいったん白紙に。
そこで、すみれさんご家族はもう一度、今のマンションに目を向けることにしました。

「この家を、もう一度好きになりたい」
今回の空間改善のコンセプトは、
「今のマンションを、もう一度好きになる。」
新しい家を購入するのではなく、今ある家の可能性を見つけて、もっと心地よく暮らせるようにする。
そんな思いから、今回の空間改善が始まりました。
私がまず気になったのは、リビングのドアを開けた瞬間に目に入る景色でした。
大きな窓の横には、2つの換気口とエアコンの配管。
換気口の周りには黒ずんだ汚れがあり、その前には折りたたみ式の室内物干しが置かれていました。
生活するうえでは必要なものばかり。
でも、リビングに入った瞬間に目に入る場所に、いろいろなものが集まってしまっていたのです。
インテリアでは、自然と視線が集まる場所を「フォーカルポイント」と呼びます。
この場所の印象を変えるだけでも、お部屋全体の見え方は大きく変わります。
そこで今回は、換気口や配管、室内物干しなどの生活感を上手に隠せるよう、造作を取り入れることにしました。
もちろん、ただ隠せばいいというわけではありません。
必要な機能やメンテナンス性も考えながら、暮らしやすさと見た目の両方を整えていきます。
そのほかにも家具の配置や収納、ディスプレイを見直し、家族みんなが過ごしやすい空間を目指しました。

全部を新しくしなくても、空間は変えられる
今回の空間改善では、家具をすべて買い替えたわけではありません。
ダイニングテーブルもソファも、これまで大切に使ってきたものをそのまま活用しています。
新しく取り入れた家具もありますが、空間の印象を妨げていたものを減らし、必要なものを適切な場所に配置し直すことを大切にしました。
工事も約3日間。
大掛かりなリノベーションをしたわけではありません。
でも、空間の見え方や使い勝手は大きく変わりました。
私は、空間改善で大切なのは「どれだけ新しいものを取り入れたか」ではないと思っています。
今あるものの良さを活かしながら、暮らしの中にある小さなストレスを一つずつ取り除いていくこと。
それだけでも、住まいはもっと心地よくなるのです。
空間が変わると、家族の行動まで変わった
施工後、すみれさんからとても嬉しいお話を聞きました。
それは、空間を整えたことで、お子さんたちの行動が変わったということ。
これまでは難しいだろうと思っていた、文房具を自分で取り出して絵を描き、使い終わったら元の場所に戻すこと。
お菓子を自分で取り出して、食べ終わったら片付けること。
そんな行動を、自然とするようになったそうです。
さらに驚いたのが、ご主人の変化。
ご主人の持ち物でいっぱいだったクローゼットも、周りの空間がきれいになったことで、ご主人自身が整理を始め、すっきりと整えてくれたそうです。
これには私もびっくり!
空間を整えることは、単に見た目を美しくすることではないんだなと、改めて感じました。
ものの場所が分かりやすくなったり、使いやすくなったり。
周りが整うことで、自分の場所もきれいにしたくなったり。
空間の変化が、家族一人ひとりの行動にもつながっていく。
そんな嬉しい変化が生まれていました。

お子さんの「好き」を大切にした、小さな居場所
今回、もう一つ印象的だったのが、お子さんの寝る場所のお話です。
上のお子さんは、環境の変化に少し敏感なところがあり、新しいベッドに慣れてくれるか、ご家族も心配されていたそうです。
そこで取り入れたのが、二段ベッド。
下の段をお子さんの寝る場所にして、好きなディズニーのバズ・ライトイヤーの布団カバーを選びました。
さらに、ベッドの上の天井部分には、暗くなると光る星や惑星のシールを。
寝るときには、自分だけの小さな宇宙が広がります。
この工夫は、すみれさんご家族自身が考えてくださったもの。
私はこのお話を聞いて、とても嬉しくなりました。
空間づくりは、デザイナーがすべてを決めるものではありません。
そこで暮らす人が、自分たちの「好き」や「心地いい」を考え、工夫していく。
そんなふうに、ご家族自身が空間づくりを楽しんでくれることも、私にとって大きな喜びです。


すみれさんが工夫したTVの後ろを生かしたゲーム収納(左)お子さんのための星のシールの工夫(右)
家を変えなくても、暮らしは変えられる
今回の空間改善を終えて、すみれさんは何度も、
「本当に谷口さんにお願いしてよかったです」
と言ってくださいました。
施工中もほとんどストレスを感じることなく、安心してお任せいただけたそうです。
そして何より嬉しかったのは、完成した空間だけでなく、そこでの暮らしそのものを喜んでくださっていることでした。
家族が増えたから、家が狭くなったから、もう引っ越すしかない。
そう思っていても、今ある家を見直してみると、まだまだできることがあるかもしれません。
もちろん、住み替えが必要なご家庭もあると思います。
でも、新しい家を買うことだけが、理想の暮らしを叶える方法ではありません。
家を買い替える前に、今の家でできることを考えてみる。
それも、一つの豊かな選択肢だと思うのです。
そして私は、今回のすみれさんご家族のように、空間を整えたことで家族の行動や気持ちにまで変化が生まれる瞬間に、この仕事の大きなやりがいを感じます。
新しいものをたくさん買わなくてもいい。
大掛かりな工事をしなくてもいい。
今あるものを活かし、暮らしに合った空間に整えることで、毎日はもっと心地よくなる。
「住まいを変える」のではなく、「住まいとの関係を変える」。
そんな空間改善を、これからも届けていきたいと思います。
| サービスの種類 | リノサポ |
| 打ち合わせ〜施工 | 2ヶ月 |
| 費用 | ■リノサポ費:35万 ■工事日数:3日 ■合計:約90万 |
BEFORE AFTER PHOTE






