合唱コンクールで教室を飾り、空間が人の気持ちを変える力を体感。大学や仕事を通して「空間は人を幸せにするツール」だと確信していった歩みを綴りました。
みんなの力になりたいと思った時に私がやったことは やっぱり空間作りだった
中学生の時のこと。
クラス対抗の合唱コンクールというものがありました。
どのクラスも目指すはもちろん優勝です!
私のクラスも毎日練習をして頑張ってはいたのですが
中には、やる気がない子もいて。
担任の先生も、クラスをまとめ切れずにいるように
私は感じていました。
それが私には、とても歯痒くて。
私はクラスをまとめるようなリーダータイプではなかったのですが
どうにかしてみんなの気持ちを1つにしたいと思っていました。
「私ができることって何だろう」
そんなふうに思いを巡らせた結果
「殺風景な教室をデコレーションしたらどうだろう」 と思いつきました。
当時、美化委員だった私は 先生に許可をもらい放課後にデコレーションを開始。
飾り付けは、当時流行っていた 「羽根の生えた豚のキャラクター」を天井から吊るすという
合唱コンクールとは全く関係のないものでしたが
みんなが喜ぶ顔を思い浮かべて夢中で仕上げました。
翌日の朝、前日とは違う教室の雰囲気に先生やクラスメイトからは驚きと歓喜の声!
そこからクラスの雰囲気はガラッと変わりました。
そして先生も、その日を境に
殻を破ったかのように情熱的な言葉で語ってくれるようになったんですよね。
先生の過去の失敗や私たち生徒に対する思い
そして音楽を通して何を伝えたいか。
普段は穏やかな先生が、声を震わせ 大きな声で話してくれた姿は忘れられません。
先生は、専門が音楽でもあったので合唱に対する思いも人一倍だったんだと思います。
そんな先生の姿にも突き動かされて みんなの心が1つになり 毎日の練習に熱が入るようになりました。
そして合唱コンクール当日。
なんと私たちのクラスが優勝したのです。
本当に嬉しかったですし これは私の成功体験として心に刻まれる出来事となりました。
優勝するまでの過程で
自分の作った空間がクラスにポジティブな影響を与えたことを
目の当たりにしましたし
その結果、優勝という結果までついてきました。
さらに実感したのは
私の意識が1番先に行くのは やっぱり「空間」だということです。
リカちゃん人形遊びの時と同じですね。
そして、私にとって空間作りは
大切なコミュニケーションツールだということです。
「クラスを1つにまとめたい!」
「優勝したい!」
「クラスのみんなが大好き!」
空間作りは、そんな私の思いが1番届く方法でした。
その場にいい空気が流れてほしくて
みんなの喜ぶ顔が見たくて
みんなに幸せになってもらいたくて
この思いを、伝えたくて。
私は空間をデコレーションするのだと思います。

いい空間には、いい空気が流れる
合唱コンコールのことを思い出しながら
私自身が気づいたことがあります。
私にとって、心地よくて穏やかな空気というものが
とても大切なものだということ。
そして、
心地いい空気というのは心地いい空間からつくれると
私自身が思っていることです。
人間ですから、いろんな気分になって当然です。
もちろん誰しも、機嫌が悪い時だってあります。
合唱だって、やりたくない子にとっては
気分がいいものではなかったかもしれない。
でも、そんな時も 機嫌が悪いまま過ごしてほしくなくて。
空間と気分は、とてもつながっています。
これは、合唱コンクールの練習で実感したこと。
いい空間にいると
いい空気が生まれて
自然と、いい気分になる。
だったら、機嫌が悪くなっちゃう時は
いい空間に身を置いてみたらいいんじゃないかって。
私は人と人がいい気分で繋がり合うのが好きなんです。
そしてそのために私ができることを考えると
やっぱり、空間づくりなんですよね。

自分にとっての、心地いい空間を作る
空間作りに興味を持っていた私は大学でも建築やインテリアを学びました。
そして大学卒業後、リフォーム会社に就職。
そこは大手のハウスメーカーのリフォーム事業部だったので
メーカーを信頼してくださっているお客様にたくさんリフォームさせていただきましたが
リフォームさせていただきながらも
本当にお客様の住まいが快適になっているのか疑問に思っていました。
そして、後ろめたさも抱えていました。
私自身、営業のノルマのために 1番受注に繋がりやすい「修繕」という名のリフォームを勧めていたからです。
本心では、修繕にとどまらず空間をアップデートして お気に入りのものに囲まれるリフォームをお客様にお勧めしたかった。
そうした方が、お客様の心はもっと満たされると思っていたからです。
ただ、間に何人もの人が関わる元請下請けという関係性がある以上
そういったリフォームをすると金額も高くなってしまう。
実際、修繕だけでなく クロスの張り替えや内部改装の工事をお勧めしたとしても 金額の都合上、諦められる方がとても多かったです。
ほとんどの方が、最低限の修繕を優先して
それ以上のリフォームを取り入れることはありませんでした。
もちろん、修繕をすることで家の安全性は増します。
それはとても大切なことです。
でも、家って、空間って毎日を過ごす場所であり
住まう方に大きな影響を与えるもの。
だから、家の機能や安全性だけではなく
もう一歩先の可能性に目を向けたいなって私は思うんです。
空間に手を入れることで 暮らしの心地よさは格段に変わってきます。
空間のストレスが減れば、暮らしのストレスも減りますし
暮らしのストレスが減れば、人生はその分心地良くなります。
「自分にとって、心地いい空間を作る」
そんな選択を、お客様にお勧めしたいと 強く思うようになったのでした。
続く…
